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Claudeのセキュリティ|法人で使うときのデータの扱いと設定

Claudeを法人で使うときのセキュリティを、Anthropicの公式文書で確かめた。個人向けと法人向けの規約の違い、学習に使われるか、保存期間、Team・Enterpriseで管理者が設定することを表にした。

社内でClaudeを使いたいという声が出たとき、まず確かめたいのは「入れた情報は学習に使われないのか」だ。答えはプランで変わる。個人向けのプランと法人向けのプランでは適用される規約が違い、学習の扱いも、保存期間も、管理者が使える機能も違う。

ここでは、Claudeを法人で使うときのセキュリティを、Anthropicの公式の文書で確かめる。規約の違い、学習の扱い、保存期間、管理者が設定することの順に整理した。ChatGPTやGeminiを含めた学習の設定の比較は生成AIに学習させない設定にまとめてある。

Claudeのプランと、適用される規約

Claudeの使い方は、大きく個人向けと法人向けに分かれる。Anthropicの文書では、Free、Pro、Maxの利用者には個人向けの規約(Consumer Terms)が、Team、Enterprise、APIの利用者には商用の規約(Commercial Terms)が適用される。

区分プラン・使い方規約学習の扱い(既定)
個人向けFree、Pro、Max(そのアカウントで使うClaude Codeを含む)Consumer Terms利用者が選ぶ
法人向けTeam、Enterprise(Claude for Work)Commercial Terms学習に使わない
開発者向けAPICommercial Terms学習に使わない

私の見方では、会社として最初に決めるべきなのは「業務で個人向けのプランを使わせるかどうか」だ。社員が自分で契約したProのアカウントで業務の資料を扱うと、その会話には個人向けの規約が適用され、会社は設定も記録も管理できない。

入力したデータは学習に使われるか

個人向けのプラン

Anthropicは2025年8月28日に個人向けの規約を更新し、Free、Pro、Maxの利用者が、会話とコーディングのセッションをモデルの学習に使うかどうかを選ぶようにした。既存の利用者は2025年10月8日までに選ぶ必要があった。学習を許可した場合、データの保存期間は5年に延びる。許可しない場合は、これまでどおり30日だ。

Claude Codeの文書によると、個人向けの利用者はプライバシーの設定をいつでも変えられる。学習をオフにしたい人は、設定画面のプライバシーの項目で切り替える。ただし、オフにできるからといって、業務の情報を個人のアカウントに入れてよいことにはならない。

法人向けのプランとAPI

Anthropicは、Claude for WorkやAPIのような商用の製品の入力と出力を、既定ではモデルの学習に使わないとしている。2025年8月の個人向けの規約の更新は、Claude for Work、Claude for Government、Claude for Education、API、Amazon BedrockとGoogle CloudのVertex AI経由の利用には適用されないと明記されている。

例外は、利用者がフィードバックを送った場合だ。評価ボタンなどでフィードバックやバグを報告すると、その会話は学習に使われうる。フィードバックの会話は最大5年保存され、学習に使う前に利用者や顧客のIDとの結びつきを切るとAnthropicは説明している。TeamとEnterpriseのオーナーは、組織全体でフィードバックの送信を止める設定(Rate chats)を使える。機密の多い部署で使うなら、この設定を確かめておく。

データの保存期間

学習に使わないことと、保存しないことは別の話だ。Anthropicの公開している期間をまとめる。

対象保存期間
APIの入力と出力受け取りまたは生成から30日以内にバックエンドで自動削除
Claude for Work(Team、Enterprise)の会話製品の体験を保つために保存。Enterpriseは保存期間を設定できる
利用ポリシーに違反すると判定された入力と出力最大2年。安全のための分類の結果は最大7年
個人向けで学習を許可した場合5年
個人向けで学習を許可しない場合30日

Enterpriseプランの保存期間の設定では、会話とプロジェクトのデータを何日で削除するかを組織で決められる。最短は30日で、設定できるのはPrimary OwnerかOwnerの役割を持つ人だ。データを一切保存しない扱い(ゼロデータリテンション)は、Anthropicとの間で別に合意した場合の例外として扱われている。

管理者が設定すること

法人向けのプランを契約しただけでは、守りたいことが守られるとは限らない。私の見方では、次の表の順に設定と決まりを整えるのがよい。

順番設定・決めること使える機能対応するプラン
1会社のドメインで個人の組織を作らせないドメインの確認と、組織の作成の制限(Restrict organization creation)Team、Enterprise
2ログインを会社の認証基盤に寄せるシングルサインオン(SSO)Team、Enterprise
3入退社に合わせてアカウントを自動で増減するSCIMEnterprise
4フィードバックの送信を止めるか決めるRate chats の設定Team、Enterprise
5会話を何日残すか決める保存期間の設定(最短30日)Enterprise
6誰が何をしたかを記録し、点検する監査ログ、Compliance APIEnterprise

1の組織の作成の制限は見落とされやすい。ドメインを確認すると、そのドメインのメールアドレスで新しいClaudeやConsoleの組織を作ること(個人のアカウントを含む)を止める設定が出てくる。会社のメールアドレスで勝手に作られた組織が、会社の管理の外に残るのを防げる。

Enterpriseプランには、ほかにも、自社のクラウドで管理する暗号鍵を使う機能(customer-managed encryption keys)や、推論を米国内に限る機能がある。監査ログについてAnthropicは、利用者の操作、システムのイベント、データへのアクセスの主な情報を記録すると説明している。

Claude Codeを使う場合

開発者がClaude Codeを使うなら、もう一段の設定が要る。Claude Codeの文書によると、手動のモードでは読み取りだけの権限で始まり、ファイルの編集やコマンドの実行の前に確認を求める。組織の決まりは管理された設定(managed settings)で配り、MCPサーバーの利用も組織で制限できる。Bashのコマンドをファイルとネットワークから切り離すサンドボックスの機能もある。

AIに渡す権限の考え方はAIエージェントのセキュリティに書いた。Claude Codeのような道具が外部のツールとつながるときの標準の仕組みは、MCPとはで説明している。

第三者の認証

調達の審査では、提供者の認証も確かめる。Claude Codeの文書は、AnthropicのTrust CenterでSOC 2 Type 2のレポートやISO 27001の認証書を入手できると案内している。AIマネジメントシステムの規格であるISO/IEC 42001については、Anthropicが2025年1月に認証の取得を発表した。規格の中身はISO 42001とはで説明している。

ただし、認証が示すのは提供者の仕組みがあることで、自社の使い方が安全であることではない。個人情報をどこまで入力してよいかは、生成AIと個人情報で整理した社内の線引きと合わせて決める必要がある。

私の見方では、Claudeの導入でつまずくのは、規約や認証よりも「誰がどのアカウントで使っているか」を会社が把握していないことだ。法人向けのプランを入れたら、個人のアカウントでの業務利用を止める決まりと、組織の作成の制限をセットで入れる。そこまでやって、初めて設定の話が意味を持つ。

AIを業務に組み込む実装の側から、こうした設定や運用の整備に関わる職種はFDEとは?Forward Deployed Engineerの意味と仕事内容で説明している。社内で使われているAIを洗い出し、アカウントと設定を点検する診断は、AI利用セキュリティ診断で紹介している。

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